(再)現 2017.September
アカデミーの課題で、1番上手く描けたと思う作品の1つは、ネフェルティティの胸像のシルエットからの展開です。
描いた時期が12月で、己の精神が(センター試験とか高校の先生との関係とか親との関係とかで)ボロボロだった中、
渾身の自信を持ってホワイトボードに貼れたそれは、ぐちゃぐちゃの満員電車に入ってきた一筋の冷たい外気のようでした。
受験生活をもう一度過ごしたいとは思いませんが、アカデミーに通っていた高校時代、インターネットに傾倒し絵を本格的に描きはじめた中学時代が忘れられません。
大学生になった今も楽しいですが、どうしてもあの頃には勝てないのです。
あの頃には絶対に戻れない。それでもあの頃に戻りたい。
故に、戻れないあの頃の再現をするために、私は絵を描くことにしました。
あの頃と今では描く意味や理由は明らかに異なります。
ですが、どちらも私が生きていくために必要なことなのだと思います。
昔から描いた絵はパソコンのデータとして保存しています。
作品の物理的な身体の有無はあまり重要な問題ではありません。
時の経過とともに変化してしまうためで、変化するものは完全なものではないからです。
(完成時=最高の状態を永遠に保てないものは完全ではない)
そんな有機的な生臭さは気持ち悪いからいらないし、固定された永遠と不変の方が美しく、心が落ち着きます。
だから私の作品の本体は電子の世界に置いています。
出力環境によって姿は違いますが、それもまた面白くないですか。